離婚後元夫から養育費をもらっている割合が2割と言われる日本。
あまりの低さに驚いてしまいます。
離婚協議書などで養育費についても取り決めをしたのに不払いになるなど許されるのでしょうか。
シングルで子供を育てるというのはとても大変なことです。
夫婦は離婚したとはいえ、子どもにとっては父親です。
ここでは不払いになった場合どうすればいいのか。
再婚した場合はどうなるのかなどをまとめました。
目次
養育費が不払いを防ぐために
日本は諸外国に比べ養育費の支払いが悪いです。
実際に元夫から養育費をもらっている割合が2割とも言われていて、あまりの低さに驚いてしまいました。
なぜこのようなことが起こってしまうのかというと、日本では夫婦2人の意思によって行う協議離婚が多いからだと思います。
養育費についても夫婦間の口約束のような形で決めていることもあります。
書面もなく、裁判所を介さないので司法が養育費の認知をしていないことも原因と言えるでしょう。
この場合「養育費を払ってくれない。」と訴えても行政が動いて支払いをさせるということはありません。
一方アメリカでは、養育費に関する制度が1970年代から作られています。
そして養育費も強制履行制度の元に管理されています。
州によって多少違いはありますが、不払いや行方不明になった場合には探し出して支払いをさせることが可能です。
それでも支払わない場合にはペナルティーや懲役刑もあるそうです。
ペナルティーは個人信用情報機関への滞納額の通知が行われ、パスポート発行拒否、クレジットカードの使用停止、運転免許証の停止などがあるそうです。
日本でもアメリカと同じようにするというのは難しいですが、せめて離婚をする時に、養育費についての取り決めを書面に残しておくことが大切です。
滞納した時には強制執行ができるように「公正証書」など公的な書面を作成しておくとより安心です。
もし、離婚時このような物を作成しておらず、今後の養育費の支払いについて不安がある場合には、早急に裁判所に調停を申し出ましょう。
公的な書面を作っておくことで、もし今後、相手が養育費を払わなくなった場合には給与や預金を差し押さえることができるようになります。
養育費が不払いになったらどうする?
養育費が不払いになったとき、もし公正証書があれば、裁判を起こさなくても相手の給料や資産を差し押さえることができます。
未払いに関しては養育費の支払いが終わる期日まで毎月相手の給料の半分まで差し押さえることができます。
不払いになった時困るのが協議離婚などで、公正証書など公的な書類を作成していない場合です。
その場合はどのような手段があるのでしょうか。
1. まずは相手に養育費を払って欲しいと催促をします。電話、手紙、メールなどで行います。
2. 内容証明郵便を送る
電話や手紙、メールなどで催促をしても無視される場合、支払いをしてくれない場合には内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便は「いつ、誰が、どのような内容の手紙を送ったのか」を郵便局が証明してくれる物です。
養育費を払って欲しいと催促したという証明能力も高くなります。
養育費には時効があるので、相手がいつ手紙を受け取ったのか分かるように配達記録を付けて送るとより良いです。
3. 調停を申し立てる
内容証明郵便を送っても養育費が支払われない場合には家庭裁判所に調停を申し立てます。
調停では、調停員が立ち会って養育費の支払いについて、解決案を提案し、双方の合意に向けて話し合いを進めてくれます。
調停が成立すれば、法的に養育費の支払いについて約束ができたことになります。
その後不払いがあった場合には強制執行が行えるようになります。
再婚した場合にはどうなる?
元夫が再婚し、再婚相手との間に子供ができた場合はどうなるのでしょうか。
養育費は、子供の養育に対して支払われるものなので、再婚し、新たに子供が生まれたからといって支払い義務は無くなりません。
しかし、子供が生まれることで養育費の捻出が難しくなる場合もあるでしょう。
元夫の収入で新しい家庭の生活費と養育費の捻出が難しくなり、元嫁が養育費の減額を認めれば養育費が減額になる可能性はありますが、まず難しいでしょう。
次に、子供を養育している元妻が再婚した場合です。再婚した場合はどうなるのでしょうか。
「再婚したのなら養育費を払う必要はなくなるのでは?」と思うかもしれませんが、養育費は元妻ではなく、子供に対して支払われるものです。
再婚したからといって、再婚相手に子供の養育の義務は課せられないため、養育費の支払いの義務は無くなりません。
しかし再婚相手が養子縁組をした場合には話が変わってきます。
民法880条に「扶養にかかる協議または審判があった後事情の変更が生じた時は、家庭裁判所では、その協議または審判の変更または取り消しをすることができる」とあります。
この「事情の変更」というのが元妻の再婚や養子縁組に当たります。
養子縁組をし、相手に子供を養うだけの十分な経済力があると判断された場合には養育費は減免になる可能性があるのです。
逆に養子縁組をしても再婚相手に子供を養うだけの経済力がないと判断されると、元夫は「第二次的扶養義務者」と判断されるため養育費の支払い義務が発生してしまうのです。
まとめ
養育費は子供の成長と教育のために必要なものです。
離婚はしても子供にとっては父親です。最低限の義務は果たしてもらいたいですね。
養育費には5年という期限があります。
不払いのまま放っておくとどんどん権利が失効していくので、不払いがあれば早めに手を打つことを忘れないでくださいね。