何らかの事情で、産みの親が子どもを育てられない場合があります。
そんなときに、日本ではその赤ちゃんにも家族を作る方法として「養子縁組」という制度があります。
育ての親の家に養子縁組された赤ちゃんは、たくさんの愛に包まれて育つことができます。
最近では、インターネットでも養子縁組を支援している民間団体が増えてきました。
中でも、悪いニュースが表に出て、「赤ちゃんポスト」などに悪いイメージさえついている現状です。
もちろん賛否両論はありますが、何より子どもの幸せのための方法のひとつであることは確かです。
そんな養子縁組ですが、まだまだ利用者が少ない、知名度が低いなど、知られていないのも事実。
今回は、新しく赤ちゃんや小さな子どもを迎え入れたいご家族へ、その方法や注意点を、分かりやすくご紹介していきます。
- 養子縁組の種類
- 養子に迎える方法
- 養子縁組の5つの注意点
これから、養子縁組を検討している方も、家族を増やしたい人も、赤ちゃんや子どもたちが幸せになる良い方法を探す、お手伝いができればと思います!
目次
普通養子縁組と特別養子縁組について
まず、養子縁組には2種類あり、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
普通養子縁組とは?
普通養子縁組は、父親主義の戸籍体系で、大人が主体の養子縁組です。
- 子どもの年齢 制限なし
- 養親の条件 制限なし
- 成立条件 養親と親族の合意 親族以外の場合は家庭裁判所が判断
- 戸籍の表記 養子 養女
- 親権 実親
- 離縁 可能
- 目的 親の都合、家系の存続、節税対策など
特別養子縁組とは?
子どもの福祉のための制度で、実親から親権を断絶し、養親に移譲する縁組です。
- 子どもの年齢 6歳未満
- 養親の条件 25歳以上の健康・健全な夫婦
- 成立条件 家庭裁判所に申し立てし審判を受ける
- 戸籍の表記 長男 長女
- 親権 養親
- 離縁 子が20歳になったときに家庭裁判所により判断される
- 目的 子の利益のため
特別養子縁組は、子どもの幸せを守るための制度と考えられています。
赤ちゃんを養子に迎える方法
ここでは、『赤ちゃんを養子に迎えたい!』という主題なので、基本的に「特別養子縁組」の赤ちゃんを迎えるために必要な事項をご紹介していきます。
育ての親に必要な条件を把握しておこう
民法において、特別養子縁組で赤ちゃんや子どもを迎える際には条件が定められています。
〇配偶者がいること。
〇25歳に達していること。
〇養子になる子どもは、原則6歳未満であること。
〇養親は、養子を6か月以上継続して養育していること(試験養育期間)
この条件を満たしていれば、養子を迎え入れることが可能です。
養子縁組は、いくつかの民間団体でも支援されています。
その企業により、民法による条件以外に、他の条件を足されているところもあるので注意が必要です。
例えば、NPO法人の「フローレンスの赤ちゃん縁組」においては、
- 夫婦ともに年齢が50歳以下を目安とすること。
- 心身ともに健康であることなど、これ以外にも11項目の条件が足されています。
どの機関において、養子縁組をお願いするかにより、条件が違うことを覚えておくと良いですね。
養子縁組をするための流れは?
まずは、どこの民間団体に養子縁組をお願いするかがポイントです。
民間団体以外には、児童相談所にも斡旋を受けることができます。
そちらの流れに沿って、養子を迎える準備をすることができます。
基本的な流れとしては、まず里親登録(個人情報提供)を行い、赤ちゃんや乳幼児の情報をもとに、専門機関が、赤ちゃんと育ての親がマッチするか審査を行います。
審査後に、何度か会う機会や遊ぶ機会を通して、その後赤ちゃんの育ての親としてふさわしいか、お互いに確認していく流れになります。
特別養子縁組においては、家庭裁判所の審判により、養子縁組が成立されます。
裁判中は、月に1度1回の養育報告を行わなければなりません。
その後、戸籍が反映されて実子として確定されます。
すぐに、養子縁組が確定するというわけではなく、時間をかけて行っていきます。
養子に迎え入れるまでに必要な費用は?
養子縁組の際には、費用についても気になるところですよね。
児童相談所での養子縁組は、研修・審査・里親委託費など税金でまかなわれます。
そのため経済的な負担はほとんどありません。
縁があるのであれば、費用の少ない児童相談所での養子縁組がよいですね。
民間団体での養子縁組は、研修や審査方法が独自にありそれぞれ料金が違います。
高額な場合もあるので、お願いする民間団体に確認しておく必要があります。
家庭裁判所に申し立てる
児童相談所でお願いした場合は、申し立ての手続きは基本的に個人で行います。
申し立て費用は、収入印紙800円分と切手代です。
それ以外に、必要な書類は、戸籍謄本(養親、子ども、養子の実父母)が必要となります。
養子縁組を支援している民間団体
養子縁組を支援、仲介している会社はたくさん存在しています。
その中でも有名なものをいくつかご紹介しますので、参考にされてください。
児童相談所に比べると、インターネット上ということもあり、たくさんの養子縁組を希望されている人が、登録や相談をされています。
〇認定NPO法人フローレンス 赤ちゃん縁組
〇NPO法人全国おやこ福祉支援センター運営 赤ちゃんポスト
〇一般社団法人命をつなぐゆりかご 養子縁組
〇NPO法人Babyぽけっと 妊娠SOSを養子縁組で救済
それぞれの民間団体のHPを参考にして、養子縁組について詳しく知ることができます。
まずは、児童相談所にて詳しく説明を聞いてみるのも良いでしょう。
乳幼児を迎え入れるときの5つの注意点
赤ちゃんや乳幼児を迎え入れる時、養子縁組をするときに何か気を付けることや、知っておくべきことがあるのでしょうか?
相続権が発生する
養子縁組後の相続権についても、考慮しておくべきでしょう。
普通養子縁組の場合は、相続税を節約するために縁組する場合もあります。
普通養子縁組の場合、育ての親と産みの親の両方の相続権を、二重にもつことができるのですが、特別養子縁組は、産みの親との関係を断った状態なので、育ての親のみの相続権をもつことになります。
赤ちゃんを迎え入れた家族に、他にも子どもが居た場合でも、同じ割合で相続権を得ることになるので、実の子どもと変わらないことを把握しておきましょう。
養子縁組にかかる費用に気を付ける
先ほども話したのですが、児童相談所にての特別養子縁組には費用はほとんどかかりません。
しかし、民間団体にお願いした場合、高額なものでは100万円を超すものもあります。
安い、高いと感じるのはそれぞれなのですが、それなりの費用がかかり、またその後の教育費や育てていくための費用がたくさんかかるので、しっかりと計画を立ててから、民間団体にお願いするようにしてください。
民間団体の重複登録はNG
基本的に、どの民間団体も重複登録をしないように記してあります。
というのは、あちこちの民間団体で特別養子縁組のお願いをしてしまうと、養子候補の赤ちゃんにも迷惑がかかってしまうからです。
まず民間団体を利用するのであれば、どの団体が、経済面や環境面で自分に合っているのか、下調べをしっかりと行ったうえで、話を進めるなり、登録するなりしたほうがよいでしょう。
アフターフォローの有無
養子縁組まではしっかりとサポートしてくださる民間団体でも、養子縁組が完了した後の不安や相談を受けてくれるところはあまりありません。
児童相談所での特別養子縁組であれば、何か気になることがあればすぐに足を運んで聞くことができますが、民間団体ではアフターフォローまで支援してくれるところでない限り、細かな部分までは相談などできない場合があるので注意が必要です。
あっせんまでにかかる時間
養子縁組を支援する有名な民間団体は、たくさんの養子希望の赤ちゃんが紹介されています。
しかし、その分「依頼が多い」ということを念頭に置いておきましょう。
あっせんまでに時間がかかる場合があります。
たくさんの依頼の中で、マッチする養親と養子を探すのは、とても大変で時間がかかるようです。
大きな民間団体に依頼するときには、先に、あっせんまでにどの程度の時間がかかるのか聞いておくと安心です。
まとめ
養子縁組には2種類あり、実の子にするという特別養子縁組は子どものための制度です。
斡旋依頼は、児童相談所や民間団体で行われており、下調べをしっかりとした上で、お願いする流れになります。
民間団体にお願いするときには、費用、時間、アフターフォロー、支援の流れなど、必ず先に確認してから登録してくださいね。
良い縁があることを、心から祈っています!