赤ちゃんを守る大事な役割の羊水。
エコーでこれかなと思うものが見えても、実際に確認することができないのでいまいちピンとこないかもしれません。
しかしこの羊水が少ないと赤ちゃんに重大なリスクを及ぼします。
この記事では、羊水過少症について詳しく紹介するとともに、対策法もお知らせします。
ポイントは7つです。
・羊水って?
・羊水過少症ってどんな病気?
・起こる原因はなに?
・症状はどんなもの?
・赤ちゃんにどんな悪影響を及ぼすの?
・治療法はどういうものがあるの?
・ならないように対策することは可能?
最後まで読んでいただければ、羊水についてかなり詳しくなっているはずです。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
羊水って?
お腹の中の赤ちゃんを包む羊膜(ようまく)と赤ちゃんとの間にある液体です。
はじめ羊水は無色透明かわずかな濁りがある程度ですが、胎児の毛や皮膚、脂肪や尿などが加わっていくと、白っぽい灰色や黄色に近くなります。
妊娠の週数が経過するごとに増量していき、妊娠30週~35週ごろにピークを迎えます。
約800mlにまでなり、その後徐々に減少しはじめ、出産予定日を過ぎると500ml~50mlとかなり少なくなります。
羊水過少症ってどんな病気?
『妊娠中期以降で羊水の量が100ml以下の場合』に羊水過少症と診断されます。
病院によっては300ml以下で診断が下ることもあるようです。
羊水はお腹の中の赤ちゃんが飲んだり、おしっことして出したりして量のバランスをとるのですが、羊水過少症はなんらかの原因によってそのバランスが崩れてしまった状態です。
原因としては赤ちゃんのおしっこする力が弱かったり、破水してしまったりして起こります。
起こる原因はなに?
お腹の中の赤ちゃんが原因のものとお母さんが原因になるものがあります。
赤ちゃんの異常が原因の場合
①赤ちゃんのおしっこをする力が弱い。
お腹の中の赤ちゃんの腎臓機能に問題がある場合、飲み込んだ羊水をおしっことして排出する力が弱くなります。
そのため、飲み込んだ羊水の量より出すおしっこが少なくなり、それを繰り返すことで羊水が少なくなってしまうのです。
②赤ちゃんの身体機能の異常
染色体の異常などで脳に障害がある場合、腎臓に問題がなくてもおしっこが上手にできないことがあります。
その結果、羊水が減ってしまう可能性があるのです。
羊水過少症の原因として、約10%に赤ちゃんの染色体異常があったとの報告があります。
③双胎間輸血症候群になっている
双子で胎盤を共有している場合に起こることがあります。
原因は血液量のバランスが崩れることによって、片方は羊水過少に、もう片方は過多になってしまうのです。
羊水過少の赤ちゃんは発育が充分にできなくなり、最悪の場合死亡してしまうことがあります。
お母さんが原因の場合
①前期破水が起こってしまっている。
前期破水とは、赤ちゃんを包んでいた羊膜が破れ、羊水が流れ出てしまうことをさします。
破れたら止まることなく流れてしまうので、羊水が少なくなっていくのを防げません。
出産予定日近くに陣痛より破水が先になることはままありますが、前期破水は身体の出産の準備が整っていない状態で破水してしまうことをいいます。
②お母さんの持病などで胎盤機能が低下してしまった。
糖尿病や高血圧など、お母さんの持病によって胎盤の機能が上手に働かない場合があります。
低下してしまうと赤ちゃんにうまく血液を送ることができず、低酸素や低栄養状態になるおそれがあるのです。
赤ちゃんの発育が遅れると、羊水を飲む→おしっことして出す。の動作が上手にできません。
そのため、羊水が少なくなってしまうのです。
③薬の服用による影響
血液をサラサラにする薬を飲んでいると、胎盤機能を低下させる可能性があります。
妊娠中に使用を推奨できない張り薬や飲み薬がありますので、薬を服用や使用する際には、
医師や薬剤師に相談してからにしたほうがいいでしょう。
症状はどんなもの?
大きくわけて3つの症状があります。
どれかひとつでも当てはまる場合は羊水過少症が疑われますので、すぐに受診するようにしましょう。
①前期破水
一番わかりやすいのが破水です。
常に羊水が流れ出てしまうので少なくなっていき、お腹の赤ちゃんが危険な状態になってしまいます。
自然に改善することはありませんのですぐに適切な処置を必要とします。
妊婦は尿漏れなど通常時に比べるとしやすくなっていますが、破水との違いを知っておけば早急の対処が可能です。
破水は無色無臭の液体が常に流れている状態で、尿漏れは一瞬流れるだけです。
②お腹があまり大きくならない
妊娠中期になってもお腹があまり大きくならないのは、羊水が少ないかもしれません。
羊水が少ない分、お腹を触ると赤ちゃんの手や足がなんとなくわかってしまうという人もいます。
心配性にこしたことはありません。
おかしいなと感じたら一度かかりつけ医に赤ちゃんの様子を見てもらいに行きましょう。
③胎動があまりしない
妊娠中期以降になると胎動を感じることができるようになります。
その胎動がいつもとは違っていたり、弱い場合はお腹の中の赤ちゃんになんらかの異変が起こっているサインかもしれません。
普段の胎動を覚えておき、異変にいちはやく気づけるようにしておくことが大切です。
赤ちゃんにどんな悪影響を及ぼすの?
大きくわけて5つの影響を及ぼします。
①刺激に弱くなる。
通常、羊水によって赤ちゃんは刺激から守られています。
いわば羊水はクッション材のような役割をしているということです。
クッションが少ないので刺激に弱く、関節や手足などに障害が出てしまう危険があります。
②発育が遅れる。
羊水が少ないと赤ちゃんは自由に動き回ることができません。
赤ちゃんはお腹の中で動き回りながら身体の機能を鍛えていきます。
腎臓や肺、心臓など、人間にとって必要不可欠な臓器の発育が遅れてしまうのです。
③癒着を起こしやすくなる。
赤ちゃんは子宮の中で羊膜という薄い膜に包まれ、羊水に浮かんでいます。
イメージ的には、水風船の中に赤ちゃんがいるような感じでしょうか。
羊水がないと羊膜に触れることになります。その時間が長いと赤ちゃんが羊膜にくっついてしまう癒着が起こることも。
癒着すると赤ちゃんの発育するうえで著しく妨げになります。
④常位胎盤早期剥離の危険が高まる。
常位胎盤早期剥離は出産の前に胎盤がはがれてしまう病気になります。
通常胎盤は出産のときにはがれ落ちますが、それが羊水が少ないことによって早期に剥離してしまうのです。
常位胎盤早期剥離になってしまった場合は、帝王切開で赤ちゃんを出産します。
最悪の場合、母子共に危険な状態になる可能性があるので、そうなる前に羊水過少に気づいて適切な処置をすることが望まれます。
⑤出産が長引く可能性が上がる
羊水過少は微弱陣痛になることがあります。
通常の出産よりも時間がかかってしまうことになるので、母子共に感染症などのリスクが上がってしまうのです。
場合によっては陣痛促進剤の使用や帝王切開などで出産を促すことになります。
治療法はどういうものがあるの?
人工の羊水を注入して増やす治療法がありますが、大抵の場合はまず安静にして経過観察になります。
水分をたくさんとり、横向きになってなるべく動かないようにします。
症状や小さなお子様が居てとても安静にできない場合などは、入院して管理するケースも。
状況が深刻な場合など、早期に出産することもあります。
ならないように対策することは可能?
予防方法は以下の3つになります。
①水分をたくさんとる。
②左を下にした横向きで安静にする
③立ち仕事や家事などは無理しない程度に行う。
水分は血液となり、横向きに寝転がることで血流をよくします。
立ち仕事は血液の流れを悪くするので、ときどき休憩をはさんで身体をやすめるようにしましょう。
羊水の量は妊婦検診で確認できます。
ここまで読んだ今、自分の羊水は少なくないかと心配になってしまっている方もいるかもしれません。
不安にならなくても大丈夫です。
妊婦検診にしっかり行っていれば、羊水の量を毎回先生が確認してくれています。
なにも言われないのでしたら問題ないので安心してくださいね。
ただし、予期せぬ破水で羊水が減少していくということもありますので、頭の片隅にでもそういうケースもあると覚えておくことで、いざというときに焦らず対処できるようになります。
ぜひ、羊水過少症について覚えておいてくださいね。