「想像妊娠ってなに?」
「生理がこないんだけど、どうすればいいの?」
想像妊娠とは、実際には妊娠していないのに、つわりや母乳が出たりする症状のこと。
はっきりとした原因は解明されていませんが、強い妊娠願望や妊娠へのプレッシャーが主な要素となっていると言われています。
想像妊娠の予防法やなりやすい人の特徴はあるのでしょうか?
また生理がこなかったときにするべきことは?
今回は想像妊娠に関するあらゆる疑問を解説します。
妊活に取り組んでいる方はもちろん、パートナーに想像妊娠の疑いがある方も参考になるはずです。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
想像妊娠とは?
妊娠の症状は比較的わかりやすいです。
つわりや生理の遅れ、一番わかりやすいのはお腹が大きくなってくること。
そんな妊娠の症状が、妊娠をしていないのに出ることがあります。
それを「想像妊娠」と呼ぶのです。
想像妊娠もしくは「偽妊娠」は、妊娠願望の強い女性によく起きます。
「妊娠したい!」と強く願うあまり、実際には妊娠していないのに妊娠症状が起きる。
想像妊娠の期間は個人差がありますが、一般的には数か月間、長い場合は数年間にも及びます。
本当の妊娠のように症状が長く続くことも、女性が安易に妊娠を確信してしまう原因となっています。
英語でも”False Pregnancy(偽妊娠)”や”Imaginary Pregnancy(想像妊娠)”と呼ばれ、国籍や人種に関係なく起きる症状です。
想像妊娠の頻度は人それぞれで、短い頻度の想像妊娠が毎月のようにある方もいれば、何か月にも及ぶ長い想像妊娠を経験する方もいます。
想像妊娠が起きるメカニズム
想像妊娠が起きる明確な原因は明らかになっていません。
数こそ少ないですが、卵巣腫瘍の症状を想像妊娠と勘違いしてしまう方がまれにいます。
卵巣腫瘍と妊娠の初期症状は似ています。
頻尿や便秘、生理不順が起きてしまうため、卵巣腫瘍なのに妊娠していると強く信じてしまうかもしれません。
しかしこのケースは少ないでしょう。
他に過去に流産を経験したり、子供をなくしたりしていると、想像妊娠が起きやすいようです。
また過去の性的虐待も想像妊娠の原因となることがあります。
これらの原因は当事者の精神状態を不安定にさせ、様々な精神問題を引き起こします。
最も多い原因が、妊娠したいという強い願望です。
特に不妊治療に取り組んでいる方、流産経験者、高齢出産となる人は想像妊娠が起きやすいです。
「妊娠したい!」「子どもが欲しい!」と強く思うあまり、体が妊娠症状を起こしてしまいます。
すると脳が体に起きた症状を妊娠症状と勘違いしてしまい、エストロゲンやプロクラチンと言ったホルモンの分泌を促してしまうのです。
結果的にホルモン分泌増加によって、つわりやお腹の膨らみ等の本当の妊娠症状が起きてしまいます。
また、化学流産を経験した人は、想像妊娠に繋がりやすいとも言われています。
化学流産とは、妊娠が成立したものの、エコー検査の前に流産してしまうこと。
原因はまだ判明していませんが、多くの場合で染色体異常だと考えられています。
化学流産の場合だと、一度は妊娠が成立しているので検査薬で陽性反応が出ます。
妊娠の継続は出来なかったものの、一度出た陽性反応のせいで空想妊娠へとつながることがあるのです。
想像妊娠の症状
想像妊娠は実際の妊娠と同じような症状が起きます。
特に以下の症状は、想像妊娠のよくある共通症状として知られます。
- 生理周期の乱れ
- お腹の膨らみ
- 胸が大きくなる
- 乳首の色の変化や母乳の現れ
- 胎動を感じる
- つわりや吐き気
- 体重増加
- おりものの変化
これらの症状が数週間から9か月、稀に数年間続きます。
さらにごく少数ですが、陣痛を訴えて病院に駆け込む方もいるのです。
妊娠していないながらも、本当の妊娠とほとんど同じ症状が出ます。
妊活中に生理周期の乱れや吐き気が起きる、また生理周期が乱れることは珍しくありません。
しかしこのような症状が出た際に、「妊娠の症状だ!」と思い込んで、想像妊娠が進んでいくことが多いです。
【想像妊娠と本当の妊娠の違い】
想像妊娠は本当の妊娠とほぼ同じですが、微妙に異なる症状もいくつかあります。
最も顕著なのが、妊娠検査薬が陽性を示さないことです。
妊娠検査薬では、尿中に含まれるhCGを検出します。
hCGは妊娠したときに受精卵から放出されるホルモン。
想像妊娠では受精卵ができていないので、hCGホルモンが放出されません。
そのため妊娠検査薬を使用すると、ほぼ陰性反応を示します。
例外は1つだけあります。
ガンを始めとする腫瘍を罹患していた場合は、hCG値が高くなるのです。
hCG値をチェックし、ガンの有無を調べる検査方法もあります。
必ずしも陰性が出るわけではありませんが、最も手軽にできる想像妊娠と本当の妊娠の区別方法です。
もう一つの違いは、高温期の長さ。
妊娠初期の代表的な症状に、高温期が長く続くことが挙げられます。
高温期は排卵が起きた直後に訪れる体温が高くなる期間のことで、次の生理が来るまで続きます。
妊娠すると高温期が長くなり、目安としては17日以上続くと妊娠している可能性が高いです。
想像妊娠では高温期が長くなることはほぼないです。
妊娠していないので、高温期も2週間ほどで終わり、通常通り生理が来るでしょう。
基礎体温が長く続く場合は、体内で異変が起きている可能性があるので、病院で検査してもらうといいかもしれません。
【妊娠検査薬の正しい使い方】
妊娠初期に見られる症状が出ると、すぐに妊娠検査薬を使いたくなるはずです。
間違った使用をすると、正確な結果を得られず、想像妊娠となるリスクを高めてしまいます。
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日の約1週間後から使用できます。
生理がこないからと1週間も待たずに使用してしまうと、陽性反応を示さないことがありますので注意しましょう。
生理がこないときにすべき4つのこと
生理がこないと多くの方が妊娠を意識します。
実際に多くの想像妊娠経験者も、生理がこないことがきっかけで、妊娠を強く意識したと述べます。
しかし「生理がこないから妊娠」と断定するのは良くはありません。
ここからは生理がこないときにするべき4つのことを紹介します。
ぜひ参考にしてください。
1.まずは妊娠検査薬を使用
生理がこない場合は、妊娠検査薬を使用しましょう。
使用の際には、先ほど説明した使用法を守ってください。
妊娠検査薬は薬局などで購入でき、検査方法もスティックに尿をかけるだけです。
最も手軽に妊娠の判定ができる検査法でしょう。
また妊娠検査薬とは異なりますが、着床出血の有無も妊娠の目安となります。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床した際に起きる少量の出血のこと。
着床出血は必ず起きるものではありませんが、生理予定日以外で出血が起きた場合は妊娠している可能性があります。
【陽性反応が出たら病院へ】
妊娠検査薬の精度は以前と比べるとずっと高いですが、それでも100%ではありません。
もし陽性反応が出たら、すぐに婦人科へ行きましょう。
陽性反応を示していても、エコー検査などで胎児の姿が確認できないこともあります。
最終判断は、必ずお医者さんにしてもらいましょう。
2.生理が来ていない時期をチェック
生理が来ていないと感じたら、予定生理日からどのくらい経っているのかを確認しましょう。
生理が来ない期間によって、対策が変わってきます。
2~3日
生理が2~3日遅れることは多々あります。
ストレスや食生活の乱れなど、ほんの些細なことが原因で生理は遅れます。
そのため2~3日の遅れで妊娠の期待はしない、もしくは必要以上に心配する必要はありません。
10~14日
約一週間から二週間生理がこない場合は、ホルモンバランスの乱れが原因となっている可能性があります。
食生活や生活習慣、そして過度なストレスを感じていないかどうか確認しましょう。
特に妊活中は、なかなか思うような結果が出ずにストレスを感じやすいです。
10日ほどの生理周期の乱れならば、生活習慣の改善などで周期は正常に戻ります。
1か月
妊娠検査薬が陰性を示しながらも、1か月以上生理がこない場合は婦人系疾患の疑いがあります。
また薬を服用していると、その薬の副作用で生理が来ていないのかもしれません。
まずは婦人科に行ってみましょう。
2~3か月以上
2~3か月という長い期間、生理が来ていないと無月経の疑いがあります。
妊娠期間中に無月経になるのは自然ですが、妊娠していないのに無月経になるのは異常です。
無月経の原因は様々あります。
最も多いのが、やはりストレス。
その他にも過激なダイエットや運動、甲状腺や子宮の病気が原因として考えられます。
無月経の治療は早めに行うべきです。
妊娠していないにもかかわらず、2か月間生理が訪れなかった場合は、早めに婦人科へ向かいましょう。
関連記事⇒生理不順は妊娠しにくい?妊娠確率を上げるためにやりたい3つの妊活ポイント
3.ホルモンバランスを整える
妊活を行っている方は、必ずホルモンバランスを整えるように努めないといけません。
ホルモンバランスが整うことで、月経周期が安定すれば、妊娠しやすい体作りも行えます。
まず心がけたいのが、ストレスをためないこと。
ホルモンバランスを崩す最大の原因がストレス。
ストレスを感じないのは無理ですが、ストレスをためないようにすることは可能です。
適度な運動をしたり、毎日趣味の時間を作ったりしましょう。
もう一つ意識したいのが、体の冷えです。
日本人女性の大半が冷えに悩まされていますが、冷えは生理不順の原因。
体が冷えるということは、血液の流れが悪くなるということ。
酸素や栄養は血液にのって全身をめぐりますが、血行不良だと十分な量の栄養が行き届きません。
ぬるめのお湯に長くつかったり、有酸素運動を取り入れるといいですね。
その他にも食生活や基本的な生活習慣を見直す、極端に食事量を減らすダイエットを行わないようにしましょう。
毎日の積み重ねが生理不順を解消し、妊娠しやすい体へと変化させます。
4.葉酸を摂取する
生理がこなかったら妊娠の可能性も考えないといけません。
妊娠中はもちろんのこと、妊活中から喫煙や定期的な飲酒はやめましょう。
そして意識したいのが、葉酸を摂取すること。
葉酸とはビタミンの一種で、厚生労働省や医師が妊婦に摂取することを推奨している栄養素です。
葉酸が重要な理由は、妊娠初期時に十分な量の葉酸を摂取すると、ダウン症候群や神経管閉鎖障害などの先天性障害のリスクを低下できるからです。
妊娠4週目ごろから神経管の形成が始まるので、妊娠の可能性が出てくると、すぐに葉酸摂取を心がけましょう。
妊娠初期は自覚症状がないので、理想としては妊活時から十分な量の葉酸をとるといいですね。
葉酸はホウレン草を始めとする葉野菜や果実、レバーや卵などに含まれています。
しかしながら、妊活中に必要な葉酸量は2倍にもなることを考慮すると、食品から十分な量の葉酸を摂取するのは困難です。
そのため、多くの婦人科医は妊活中から葉酸サプリを摂取するのをオススメします。
葉酸は妊娠しやすい体作りにも欠かせないので、今から取り入れてもいいかもしれません。
関連記事⇒葉酸サプリが絶対に必要な3つの理由とたった5つの選び方
想像妊娠の治し方
妊娠初期の段階でエコー検査を実施するのがほとんどなので、想像妊娠も比較的早めに発見しやすいです。
想像妊娠の発見は簡単ですが、重要なのは患者が「想像妊娠」だったという事実を受け止められるかどうか。
多くの患者は、実際に妊娠していると思いこみ、大きな幸福感を得ています。
特に妊娠を熱望している方や数か月間妊娠していると思い込んでいた方は、なかなか想像妊娠だったという現実を受け入れられないでしょう。
ときに想像妊娠の治療では、パートナーの協力が必要となる場合があります。
医師がどんなに慎重に事実を告げても、現実を受け入れられない女性は数多くいます。
もし受け入れられない場合は、心療内科や精神科に連れていきましょう。
一見すると普通に見えても、心の中では大きな傷を受けたり、悲しみを抱えていたりする可能性があります。
その悲しみや失意に気づいてあげられるのは、パートナーであるあなただけかもしれません。
想像妊娠の治療では、専門家の手助けはもちろんですが、パートナーが一緒になって傷を癒してあげましょう。
また想像妊娠は女性ホルモンの乱れが原因となることがあります。
その場合は、産婦人科で処方された薬やピルを服用することで、ホルモンバランスが整い想像妊娠が治る場合があります。
想像妊娠の症状を治すこと自体は難しくありません。
想像妊娠の治療で難しいのは、女性が受ける精神的ダメージ。
その傷を癒すことに専念しなければいけません。
想像妊娠は男でもなる?
想像妊娠は稀にですが男性にも起こる場合があります。
同性愛者の男性が想像妊娠することもあれば、パートナーが妊娠したことで自身も想像妊娠する男性も多いです。
男性が想像妊娠する仕組みもまだ判明していませんが、妊娠したパートナーへの思いや共感が高まり、体内の女性ホルモン量が高くなることが原因と考えられています。
多いのがつわりで苦しむ妻を見ていたら、男性にもつわりの症状が出るようになること。
共感の他にも、父親になる不安や緊張からくる疲労なども原因なのではと言われています。
また犬や猫などの哺乳類動物がホルモンバランスの乱れで、想像妊娠することもあります。
まとめ
想像妊娠はストレスや強い願望から起きるもので、はっきりとした予防策はありません。
可能な限りストレスをためないようにすることと、正確な妊娠検査薬の使用を心がけましょう。
また生理がこないと、妊娠を期待しすぎてしまいますが、過度に期待してはいけません。
確定するのはエコー検査で胎児を確認したとき。
万が一、想像妊娠になると一度はがっくりとしますが、それを乗り越えて本当に妊娠を果たした方はたくさんいます。
気負いすぎることなく、前向きに妊活を続けてください。