妊娠初期(4~15週)は、流産のリスクが最も高い時期。
そのため、この時期は妊婦さんが最もナーバスになります。
おりものの色や状態が変化すると、「お腹の赤ちゃん、大丈夫かな?」と心配になりますよね。
今回は、妊娠初期のおりものの色について、その原因と対処法をご紹介します。
この記事のポイントは3つです!
- おりもの色が茶色やピンク5つの原因
- 赤ちゃんへの影響や流産リスク
- おりものの色がおかしい時の対処法
それでは解説をしていきます!
目次
おりものって一体何?通常はどんな色?
そもそも、おりものってどういうものなのでしょうか?
子宮や膣から分泌されるおりものは、膣内の乾燥を防ぐとともに、常に弱酸性の状態にして子宮や膣へ雑菌が入らないように守ってくれるという、
とても大事な役割を担っています。おりものは、通常、白みがかった透明な色をしています。
実はおりものは、妊娠のサポートだけでなく、病気などの体調の変化のバロメーターになっているのはご存知ですか?
白いおからやカッテージチーズ状のおりものが出て陰部が痒い場合は、カンジダ膣炎の可能性も。
また、風邪を引いて抵抗力が低下している場合、おりものが増えることもあります。
こういったように、もしおりものの色や状態が普段と違うなと思ったら、ぜひお早目に産婦人科の先生に相談してみてくださいね。
これって大丈夫?妊娠初期のピンクのおりものの5つの原因
普段は透明なおりものが、妊娠初期にピンクのおりものが出るととても不安になりますよね。
実際、妊娠7~妊娠8週目位でピンクのおりものが出たという声がとても多いです。
ピンクのおりものは子宮などからの出血が混ざったものなので注意が必要です。
それでは、妊娠初期に起こりうる出血の原因のうち主なものをご紹介します。
①絨毛膜下血腫による出血
絨毛膜下血腫は、子宮壁から胎盤が剥離して生じた出血が、赤ちゃんを包む卵膜のひとつである絨毛膜と絨毛膜の間に溜まることによって発症します。
妊娠初期にこの絨毛膜下血腫による出血で、ピンクのおりものが出ることがあります。
血腫が大きい場合切迫流産に繋がることもあるので、腹痛も伴う場合は早急に医師の診察を受けることをおすすめします。
②病院での内診時における出血
妊娠中は膣や子宮が非常に傷つきやすい状態になっているので、内診用の器具が挿入されると膣などに傷が入り出血することも。
通常は、しばらく時間を置くと出血がおさまります。
しかし、2日以上経過しても出血が止まらない場合や出血量が多いような場合は、流産の可能性があるのですぐ受診してくださいね。
③切迫流産による出血
赤ちゃんが子宮内にいる状態で流産の可能性があるものを切迫流産と言います。
切迫流産になる原因はいろいろありますが、妊娠初期における流産の原因の多くは、胎児の染色体異常によるものとされています。
軽度の場合は安静にしているとやがて出血が止まり、流産しないことが多いです。
しかし切迫流産の状態が重い場合は、残念ながら流産してしまうことも。
そのため、腹痛を伴う薄いピンクのおりものが出た場合は、すぐに医師の診断を受けましょう。
④子宮外妊娠による出血
正式名称は”異所性妊娠”といいます。
正常な妊娠の場合、お腹の中の赤ちゃんは子宮の中で育ちますが、子宮外妊娠は、卵管や腹腔などの子宮ではない場所に着床してしまいます。
子宮外妊娠であっても妊娠検査薬は陽性になるので、医師の診断を受けるまでは正常な妊娠だと思いがちです。
しかし、子宮外妊娠になるとお腹の赤ちゃんが育たないので、流産するケースが多いですが、卵管摘出などの手術を要することもあります。
子宮外妊娠になると、微量の出血が混ざるピンクのおりものから始まり、だんだん出血が増えていきます。
また、腹痛を伴うことが多いです。
子宮外妊娠が重症化してしまうと、卵管の破裂など母体も危険な状態になる可能性がありますので、気になる場合は早急に受診しましょう。
⑤子宮頸管炎など、子宮内の病気による出血
子宮内の病気による出血がおりものに混ざって、ピンクのおりものが出ることがあります。
薄いピンクのおりものがしばらく続き、出血量が増えるにしたがって、おりものが血に染まるようにもなります。
子宮頸管炎は、子宮の入り口にある頸管が感染症などによって炎症を起こす病気で、その原因の多くは性器クラミジア感染症です。
感染後しばらくは自覚症状がなく、多量の水っぽいおりものや、血が混ざり薄いピンクのおりものが出るようになって気づくこともあります。
しかし、顕在する症状があまり重くないので放置されてしまうことも。
母体が性器クラミジアに感染した場合、流産や早産、また出産時に赤ちゃんが感染し、クラミジアに感染して結膜炎や肺炎を発症するリスクがあります。
そのため、多量のピンクのおりものが出るようになったら、早急に医師の検査を受けましょう。
妊娠初期に茶色いおりものが!流産のリスクはない?
妊娠初期の茶色いおりもの(略して茶オリ)の原因は、ピンクのおりものと同様、出血によるものです。
出血からあまり時間が経っていない場合は、透明なおりものに赤い鮮血が混ざってピンクに見えます。
一方出血から時間が経過した場合、血液を赤くする赤血球の中のヘモグロビンが酸化して茶色に変わるため、おりものも茶色になるんです。
そのため、茶オリは出血から時間が経ってから排出されたものであり、少量で継続しなければ問題ありません。
しかし、茶オリの量が増えていったり、数日間続くことや、腹痛を伴うような場合は流産などに繋がる恐れがあります。
いづれにせよ、茶色のおりものが出た場合は、早目に医師の診察を受けてください。
また、まだ妊娠が判明していない場合で、排卵日から1週間後位に茶色いおりものが出たら、着床出血の可能性も。
着床出血は、受精卵が着床する際に、受精卵の周りにある絨毛が子宮内膜を傷つけることで出血するもので、通常、出血の量はあまり多くありません。
茶おりが1~3日ほど出る方や、生理と同じ位の出血がある方など、個人差があります。
着床出血=妊娠している可能性があるということですが、着床出血がある人の確率は50人に1人くらいの割合なのだそう。
よって着床出血がある人はとても貴重な赤ちゃんからのサインですので、見かけた機に飲酒や喫煙などの赤ちゃんへリスクを及ぼす行為は避けましょう。
妊娠初期に黄緑色のおりものは病気の可能性がある?
冒頭でも述べたように、おりものは通常白みがかった透明な色をしていますが、時々黄緑色のオリモノがでたという話を聞いたりします。
では妊娠初期の黄緑色のおりものは、何か病気の可能性があるのでしょうか?
黄緑色や黄色いおりものが出ている場合は、感染症などの病気によって膿が混ざっている可能性があります。
黄緑色のオリモノがでたときに考えらえる疾患を5つ紹介します。
①トリコモナス膣炎
陰部がかゆい、またおりものが泡状で黄緑色になり、かつ生臭いような悪臭がする症状がある場合は、トリコモナス膣炎の可能性があります。
トリコモナス膣炎が怖いのは、性行為だけでなく、タオルやお風呂、トイレなどでも感染する可能性があること。
そのため、もしも妊娠中にパートナーが感染したら、タオルやお風呂は別にし、トイレは除菌するなど気を付けてくださいね。
②カンジダ膣炎
カンジダ膣炎は、抵抗力の低下などによって膣内のカンジダ菌が繁殖することで発症するため、妊娠初期にはかかりやすい病気です。
陰部のかゆみとともに、おからやカッテージチーズ状の白いおりものが出るのが特徴ですが、おりものに膿が混ざって黄緑色になる場合も。
③淋病
性行為によって淋菌が感染して発症する淋病も、陰部のかゆみや黄緑色の粘り気がある臭いおりものが出るのが大きな特徴です。
尿道に感染すると、おしっこをする時に痛みを伴います。
また、子宮頸管炎を発症することも少なくありません。
治療が遅れると、子宮内や卵管、卵巣などに感染が広がり、重症化します。
④細菌性膣炎
細菌性膣炎は、抵抗力の低下や膣内を過剰に洗いすぎることなどによって、膣内に大腸菌などの細菌が繁殖することで発症するため、カンジダ膣炎同様、妊娠中にかかりやすい病気です。
細菌性膣炎の特徴的な症状は、粘り気のある黄色や黄緑色のおりもので魚が腐ったような悪臭がします。
また陰部がかゆくなります。
⑤クラミジア感染症
クラミジア感染症でも、血が混ざったピンクのおりものだけでなく、黄緑色の水っぽいおりものが出ることがあります。
それは、性クラミジアの感染による子宮頸管炎などの炎症が酷くなっていることが原因です。
感染症の場合は出産時に赤ちゃんへ感染するリスクもありますし、早産や流産に繋がるケースも。
ただし、早期に適切な処置を受ければ治りますので、黄緑色や黄色いおりものが出る場合は、早急に医師の診断を受けてくださいね。
妊娠初期のピンクや茶色、黄緑色のおりもの、どう対処すればいい?
これまで、妊娠初期の出血の原因についてご紹介しました。
それでは、出血した場合にはどのような対処を行えばいいのでしょうか?
今回は出血時の対処法を6つご紹介します。
①出血が続いたり、腹痛がある場合、また黄緑色のおりものは、即病院へ!
出血によるピンクや茶色のおりものが続いたり、量が多い場合、また腹痛も伴う場合には、何らかの病気や切迫流産によるものの可能性があります。
また、黄緑色のおりものが出る場合は、性感染症が疑われます。
そのため、手遅れになる前に早急に医師の診断を受けてください。
②安静にする
妊娠初期に薄いピンクや茶色のおりものが出た場合は、妊婦さんの体内のどこかが出血しているということですから、ひとまず横になって安静にしましょう。
出血中は無理をせず、家事などもなるべく避けてください。
またおりものの色が戻れば、出血が止まったということです。
ただし、出血が止まっても腹痛などの症状がある場合は、早急に医師の診断を受けることをおすすめします。
③ナプキンやおりものシートの携行
妊娠期間中は、おりものの量が増えたり、出血するなどの体調変化がいつ起こるかわかりません。
そのため、生理用ナプキンやおりものシートを常時持ち歩かれるようおすすめします。
④下着を清潔にする
おりものシートをつける場合は、雑菌の繁殖による感染症にかからないよう、こまめに交換しましょう。
また下着がおりもので汚れた場合も同様に、速やかに交換してください。
⑤疲労やストレスを解消する
妊娠中は細菌等への抵抗力の低下によって、カンジダなどの膣炎が発症しやすくなります。
そのため、妊娠中には疲労やストレスをためないようにすることが大事です。
家事などを少し手抜きするとか、パートナーに手伝ってもらうなど、あまり「頑張りすぎない」ようにしてみてはいかがでしょうか?
またヒーリング効果のある音楽を聴くのも、ストレスを軽減して気持ちを穏やかにできるのでおすすめです。
⑥妊娠初期の性交渉を避ける
膣には雑菌の侵入を防ぎ、感染症から守るという自浄作用があります。
妊娠中は抵抗力が低下し、膣の自浄作用も弱ってしまうため、性クラミジアなどの感染症にかかりやすくなります。
さらに、切迫流産などのリスクもあるため、妊娠初期の性交渉は避けましょう。
どうしても行う場合にはコンドームをしっかり着用しましょう。
まとめ
妊娠初期に、おりものの色がピンク、茶色、黄緑色になる原因と対処法をご紹介しました。
おりものの色は、妊婦さんの身体の状態を表しています。
そのため、おりものの色や量がいつもと違うなと思ったら、大切な赤ちゃんを守るためにもそのまま放っておかず、まずはお早めにお医師さんに相談してくださいね。