目次
「東」という漢字について
字画数:八画
音読み:とう
訓読み:ひがし
「東」の意味や由来や成り立ちと特徴
「東」は、袋に細い棒を通して両端を縛った絵から生まれた漢字です。
縛った袋の両端から棒が出ていることから「地平線を突き抜けて出てくる太陽」という意味になり、朝日が昇ってくる方角を表すことから「東」と称されました。
意味が先にできて、あとから漢字が当てられるのは非常に珍しいケースです。
最初は、棒は木とされていて、その木の向こうから朝日が昇ってくる様子から「東」とされた説が有力でした。
しかし絵として見た場合、木というよりは「棒」であり、棒に縛られている「袋」も棒と切り離しては意味が成り立たたず、そのため現在では、東とは関係のない別の漢字を便宜的に用いた、というのが最も有力な説になっています。
つまりは両端から出ている「棒」を太陽と見立てて、近代の学者が無理に意味をこじつけたわけですね。なかなかに苦労したと思います。
いずれにしても「東」の方角を表すだけの漢字。
方角を表すだけの意味しか持ちませんが、「東西南北」という方角を示す根幹の1字であるわけですから学者も真剣にならざるを得なかったのです。
小学2年生で教えることから、重要な漢字であるとわかりますね。
教師が子供達にこの「東」を教える場合、必ず言うことは「東から陽が上り、西へと沈んでゆく」です。
そうして子供達はこの漢字が特別なものだと意識するようになるのです。
そして、古代の中国でも日本でも「東」はとても重要な意味を持ちました。
それは権力者の次位の権威を示していたからです。
中国では王の正妃を「東后」と称しました。
日本でも、次の天皇が住まう場所を「東宮」と呼ぶようになったのです。
この特別な場所である「東宮」ですが、そこを改革した1人の女性がいました。
初めて民間から皇室に嫁いだ平成天皇の妻である「美智子皇后」です。
テニスが縁で皇太子であった平成天皇に見初められプロポーズされます。
とてもロマンチックなお話ですね。
しかし当時は民間から皇室に入ることはとても恐れ多いこと。
美智子様は海外に留学してまでもお断りしようと考えていました。
自分が留学中に他の皇室の女性を妻に迎えてほしいと考えていたのでしょう。
けれども、彼女の中でも皇太子に対する思いは募り、とうとう日本に帰国しました。
その美智子様に皇太子は心を尽くします。
二人だけのホットラインである電話を設置して、毎夜彼女に語り掛けました。
「どうか何も恐れずに入宮してください」
そうして美智子様の気持ちは固まり、皇室に嫁ぐことになったのです。
しかし宮中ではやはり民間から嫁いできた皇太子妃には風当たりが強かったのです。
子供が産まれると乳母に渡す宮中のしきたりを打ち破って自分の手元で育てていたこともその要因でした。
けれども、愛する夫の皇太子が「幼い頃に父母と離され寂しかった」という話を聞いていたので、半ば夫の気持ちに沿う形で子供を自分の手で育てました。
そして皇太子もその気持ちを汲んで、妻に冷たく当たる女官達をすべて遠ざけました。
美智子皇后は夫の気持ちに添い、平成天皇は妻を守りながら、こうして開かれた皇室を作っていったのです。
「東」を使った熟語
以東
意味:ある地点から東のこと。
極東
意味:西欧から見てもっとも東側にある国々。
おもにアジアを指す。
中東
意味:西欧から見て、アジアとの中間の地域にある国々。
東宮職
意味:皇太子と妃、その子女に仕える宮内庁の部局のひとつ。
東海道
意味:江戸時代に整備された街道のひとつ。
東華録
意味:中国の歴史記録書。清朝時代のものを指す。
古今東西
意味:古代から現在まで、東西南北いたるところを表した語。
関東御領
意味:鎌倉幕府が成立するまで源氏が本拠地としていた領地。
「東」の説明の仕方
電話や役所の受付などで名前を伝える際、どういう漢字を書くのか聞かれる時があります。
その場合、どのように説明すればよいのか悩みますよね。
ここではその例を紹介したいと思います。
例えば、あなたの名前が東子(とうこ)だとします。
・「とうこのとうは、東西南北の東です」
これは簡単ですね。
「東」はいろんな言葉に使われています。
自分が説明しやすいように例をいくつか考えておくとよいですね。
「東」を使った名前の有名人・芸能人
根岸 東一郎さん(大正から昭和期の俳優、映画監督、脚本家)
じょじ伊東さん(俳優)
高知 東生さん(俳優、タレント)
志村 東吾さん(俳優)
村上 東奈さん(女優、タレント)
吉田 東洋さん(江戸時代後期の土佐藩士、政治の中枢に関わる)
吉益 東洞さん(江戸時代中期の医者、近代医学の祖と称されている)
愚堂 東寔さん(安土桃山時代の臨済宗の僧)
佐久良 東雄さん(幕末の志士、歌人)
「東」を使った名付け候補
以東子(いとこ)
紗東美(さとみ)
真東胡(まきこ)
紀東(きしの)
東芽(はじめ)
東花(もとか)
真東李(まとい)
東和子(とわこ)
詩東埜(しきの)
東香(はるか)
東陽(はるひ)
真東(まき)
東未(ともみ)
美東(みはる)
東祢(あつね)
早東子(さきこ)
由東菜(ゆきな)
望東祢(もとね)
和東(わと)
朔東(さき)
東羽子(とうこ)
東陽苗(とよえ)
東音(あつね)
東渚(もとお)
東莉(とうり)
まとめ
「東」の意味は「地平線を突き抜けて出てくる太陽」、つまりは日の出を表しています。
新しい1日の始まりである朝の光。とても清々しいですね。
また、東は歴史的な慣習から見てもとても高貴なものとされています。
そのため、常に品格と正しさを求められる漢字でもあるのです。
清く正しい女性に成長するよう願いを込めて。