夏場になると、ゴキブリや蚊などの虫に出合う回数も増え、それに伴い殺虫剤や虫除けスプレーを使用する機会も増えます。
もう嫌だ!とにかく早く退治してしまいたい!という思いから、害虫たちに遭遇した時は、思わず必死に殺虫スプレーを撒いてしまうこともしばしばありますよね。
無事に退治が終わりふと我に返った時、あれ?殺虫スプレーの煙を吸ってしまったけど大丈夫かな?と、急に心配になったことはありませんか?
『お店の周囲で店員さんが虫除けスプレーを撒いているのを、タイミング悪く吸ってしまった』
『家族が使っていた殺虫スプレーが皮膚に付着してしまった』
『ダニ退治で使用した燻煙タイプの煙を吸ってしまった』
そんな時は慌てずに冷静に対処したいものですよね。
普通でもそう感じるのに、妊娠中ならなおのこと。
ちょっとしたことでも赤ちゃんにどのような影響がいくのかと心配になってしまいますよね。
そこで今回は、安心に殺虫剤を使用するために、3つの注意点をまとめました。
- 市販の殺虫剤が安心な理由
- 誤った使用をした時の対処の仕方
- 妊婦でも安心して使えるゴキブリ退治方法
うっとうしい虫たちとはすぐにでも別れてしまいたい!
そんな時にこれを読めば慌てずに冷静に対処でき、妊婦さんでも安心して殺虫剤を使用できます。
目次
妊婦は殺虫剤を使用しても大丈夫?市販の殺虫剤が安全な理由
最近は殺虫剤にもさまざまなタイプが開発されていますね。
例えば、蚊やハエに効果的な”蚊がいなくなるスプレー”や”アースジェット”。
”ゴキジェット”という、漆黒の害虫用のものもあります。
こういったスプレータイプのものもあれば、”おすだけベープ”のようにワンプッシュで効き目が長時間持続するタイプもあります。
燻煙型の殺虫剤で言えば”バルサン”が有名ですね。
このように用途や環境によって使い分けのできる殺虫剤ですが、その成分は何でできているのでしょうか?
まず、主に市販されている噴射式スプレータイプの殺虫剤の成分はピレスロイドです。
このピレスロイドという成分には3つの特徴があります。
- 害虫の神経を素早く麻痺させることにより、すぐに退治することができる
- 人間に対して害は無く、体内に入ったとしても尿などで短時間で体から排出される
- 空気中に飛散した後も、光・熱・空気に触れると、すぐに分解されるので安全である
このような特徴から、ピレスロイドの成分を用いた商品が多く使われているのです。
ではなぜ人間にとって安全なのかというと、それには理由があります。
それは厚生労働省が、新しい殺虫剤を製造販売するためには、とても厳しい審査基準を作っているから。
毒性、効果、人体への影響を動物試験で催奇性の確認、製造過程での安全性等、多くの試験や実験を重ねて行き、それら全てが承認されてから商品化されるので、安心して使用できるのです。
防虫剤に関しても同様のことが言えます。
防虫剤の成分はほぼ殺虫剤と違いないうえ、殺虫剤より含有量が少なめ。
よって殺虫剤が体に問題なければ、防虫剤も直接的な害はないといえます。
ただし、虫除けに関しては注意が必要です。
市販されている主な虫除けには、ディート(DEET)と呼ばれる昆虫忌避剤が含まれています。
日本では妊婦さんとディートの直接的な因果関係は特に証明されていません。
しかし海外では、ディート入りの虫除けを妊婦さんが毎日使ったところ、赤ちゃんに悪影響が出たという報告が挙げられました。
『そんな!今まさに虫除けスプレー使ってしまったわよ!』
と焦る方もいるでしょうが、上の例は毎日使用した場合ですのですぐには影響が出ないと考えて良いでしょう。
むしろ虫除けスプレーを使わずに夏場外を出歩き、蚊に刺されて感染症にかかるなど大事に至る方が危険です。
代表的なものでいえばジカ熱。
2015年以降話題となった病ですが、妊婦が蚊を媒介してジカ熱にかかると胎児に悪影響を及ぼすことが明らかにされています。
日本ではジカ熱を発症した人はいませんが、同じく蚊に刺されて感染するものに、デング熱があります。
デング熱は日本でも感染者が出ており、高熱や関節痛、皮疹などの辛い症状を引き起こします。
胎児に直接的な影響はありませんが、妊娠中の感染症はできるかぎり避けたいものですよね。
しかし、妊婦さんの中には蚊に刺されることで感染症にかかる可能性があることを知らない人もいます。
そういったことから、虫除けスプレーやアースジェットなどの殺虫剤を利用して、日ごろから防虫に備えることは大切です。
ただし今後虫除けの購入を検討している際は、パッケージを見て、念のためディートを配合していないものを選んでください。
関連記事⇒妊婦はムヒを使っちゃダメ?妊娠中のムヒの影響と3つの注意点
殺虫剤の煙を吸ってしまったけど大丈夫?覚えておくと便利なトラブルの対処法
家庭用の多くの殺虫剤や防虫剤は、ほぼ医薬部外品なので、スーパーやコンビニで購入できます。
薬剤師が在住している薬局のみしか買えない医薬品と違って、安心して使用できるものがほとんどですので、あまり神経質になる必要はありません。
一口なめただけでは、家庭で様子を見ていても問題ないほど安全なのです。
もし誤った使い方をした場合、下記のことを覚えておくと良いでしょう。
・誤って殺虫剤の煙を吸い込んでしまった場合
新鮮な空気のある所へ移動をし、ゆっくりと呼吸を整えます。
頭痛やくしゃみ程度であれば、様子を見ていても問題はありません。
しかし、ふるえやめまいが出てきたら中程度の中毒症状ですので、必ず医師の診察を受けましょう。
また、なるべく吸い込むのを抑えるよう意識する事も重要です。
おすだけノーマットやゴキジェットを発売している、アース製薬社の公式ホームページでも以下のように回答しています。
Q 妊婦や乳幼児がいる部屋で使っても大丈夫?
A ご使用いただけます。
ただし、薬剤を直接吸い込まないように、噴射の際は噴射する人以外の入室を避けてください。
上記のように煙を吸い込むことが懸念されていますので、薬液のかかった食べ物は口に入れないようにしてくださいね。
・噴射したスプレーが目に入った場合
おすだけノーマットや蚊がいなくなるスプレー、おすだけベープなど、持ち運びにも便利で使いやすいスプレータイプの殺虫剤も発売しています。
ワンプッシュなので手軽で扱いやすいですが、噴射の直線状にいてしまい目にかかってしまう可能性が。
もし誤って目に入っしまったら、すぐに流水で15分ほど目を洗浄しましょう。
・皮膚に付着した場合
石けんをつけて、よく洗い落とします。
妊婦さんは肌が敏感になっているので、虫除けが肌に付着すると、かぶれたりただれたりする場合もあります。
その時は医師に診せておいた方が良いでしょう。
いずれにしても、何か異変を感じたら必ず医師に相談をしましょう。
そして万が一、激しく咳込んだり嘔吐をした時は、すぐに医師による診察を受けて下さい。
ここで、一つ注意したいことがあります。
アースレットやバルサン等のくん煙剤は害虫の殺虫作用が強く、人に対しても有害性が高いため、他の殺虫剤よりも取り扱いに注意が必要な医薬品となっています。
薬剤師が在中しているお店で取り扱っているのもその為。
バルサンの公式ホームページ上の「よくある質問」コーナーでも以下のように記しています。
Q2 妊娠していますが、くん煙殺虫剤のバルサンを使っても大丈夫ですか?
A 妊娠されている方がいらっしゃるご家庭でもご使用いただけますが、妊娠されている方が直接、始動および換気などの作業に携わることは避けてください。(臭いに敏感になっている方もいらっしゃいますので気分が悪くなる場合がございます)
従って、妊婦さん本人が直接使用したり、誤って煙を吸ってしまった時は、念のために医師の診察を受けると良いでしょう。
何より一番苦手なゴキブリ!妊婦さんでも安心して退治する方法とは?
何と言っても虫の中でも一番嫌なゴキブリ。
とにかく退治したい時に殺虫剤が安心して使えると分かっても、やはりまだ不安が残る妊婦さんもいることでしょう。
そんな妊婦さんに、殺虫成分を含んでいないものや、ゴキブリの方からいなくなるものをご紹介します。
・「ゴキブリ凍止ジェット」(フマキラー)
マイナス75度の冷気スプレーを噴射して、ゴキブリを凍らせて退治するものです。
薬効成分が含まれていないので、妊婦さんでも安心して使えます。
できればゴキブリの死骸を見ずに退治したい、という場合は、ゴキブリが薬品入りの毒餌を食べた後、巣に帰ってからなくなるタイプの殺虫剤を選びましょう。
場所は台所や押し入れ、ベランダ等に設置すると良いです。
主に市販されているのは下記の2つの商品です。
・「ブラックキャップ」(アース)
神経系に効くフィプロニルが配合されており、巣に帰ってから薬の効き目が出る為、巣で息絶えることにより、それを食べた仲間や卵にも効き目があります。
このとおり巣ごと退治できます。
・「コンバット」(KINCHO)
こちらは呼吸器系に効くヒドラメチノンが配合されています。
ブラックキャップと同様に巣に帰ってから薬の効き目が発揮されるため、巣ごと退治できます。
いずれの場合も、殺虫成分に対して効き目が無くなる抵抗性が出てくるので、数か月ごとに設置する殺虫剤の種類を変えると良いです。
ホウ酸だんごも置くタイプの殺虫剤で、呼吸器系に作用し即効性があります。
その為、使った途端なくなることもあるので、死骸を見なくてはならない場合も。
それを見たくない場合は、ホウ酸だんごは止めておいた方が良いでしょう。
・まとめ
市販の殺虫剤は、安全に使用できるように製造されています。
過度な心配をする必要はありません。害虫を見たときは、冷静に始末しましょう。
そうは言っても、妊婦さんが大きなお腹で虫退治をするのは一苦労です。
出来れば、予防対策として家の周囲には毒餌タイプの殺虫剤を置いておくと良いでしょう。
そして、万が一誤った使用法をした時の対処法を頭に入れておき、落ち着いて対処したいですね。
必要であれば、かかりつけの産婦人科に相談するようにしましょう。