目次
「史」という漢字について
字画数:五画
音読み:し
訓読み:――
「史」の意味や由来や成り立ちと特徴
「史」は、竹札と右手の絵からこの漢字が生まれたと言われています。
まだ紙のなかった古代中国では、竹を割った内側の白い部分に文字を書いていました。
では、何を書いていたのでしょうか。
それは諸説あります。
ひとつは、「史」という漢字が「歴史」を表しているため、国の出来事を、時代を追って書き記したという説。
そしてもうひとつが、神への祈りを書き記した板を紐で木の枝に結び付けていたという説です。
他にも諸々ありますが、「史」の漢字の形から、このふたつの説が有力だとされています。
そして、このふたつに共通するのが「女性」でした。
前者は、国事を記す記録係。
国事をありのままに後世に書き残す。
私情をいっさい交えてはならない。
その役を担うということは、役人でありながらも政治とは一線を画した立場でなければならず、出世を望まない或いは望めない人。
つまり、女性でした。
そして後者は、神への祈りを書き記すことから神官の補佐をする人です。
穢れのない女性が担うため、未婚の女性が選ばれました。
どちらも重要な役目であるため、教養があって私欲がなく公正だと認められた女性だけがその任に就くことができました。
今でも女性の尊称として用いられる「女史」は、ここからつけられたと言われています。
また日本では、神に仕えるのは内親王のひとりであり、「斎宮(いつきのみや)」と呼ばれて尊ばれていました。
やがて、「巫女」という未成年の女性達も誕生しました。
「史」を女の子の名付けに使う時、ご両親が望むのは「聡明で、公正で、清らかな女性に成長してほしい」と願ってのことでしょう。
漢字の意味や由来がわからなくても、字の形から受ける知的な印象を感じることはできるはず。
男性優位の時代にあっても周囲の環境に流されることなく公正さを守るために厳格であろうとした女性達の、内に秘めた静かな強さは、時を隔ててもなお消えることはありません。
感情を表に出さない冷静な立ち居振る舞いは「優美さ」とも重なり、「智と美」の象徴ともされていました。
近くにいながら手に入らない存在は、異性にとってはまさしく高嶺の花だったでしょう。
公正さと清らかさを守るために「帝」ですら近寄ることができなかったのですから。
これからますます女性の活躍が期待される今の時代だからこそ、お子さんの名前に使いたい漢字として、とても人気が高まっているのです。
「史」を使った熟語
逸史
意味:正史に記述されていない歴史の事実。
また、それを書いた史書。
詠史
意味: 歴史上の出来事を題材として詩歌を作ること。
また、その詩歌。
史観
意味: 歴史を全体的に把握し解釈するための基礎的な考え。
史前学
意味:時代区分のひとつ。
文献記録がなかった時代を研究、追及する学問。
史記抄
意味: 室町中期の史書を口語で注釈したもの。
歴史哲学
意味:歴史的認識及び論法を哲学的に考察する学問。
国史大系
意味:江戸時代末期から神代までの正史を遡って編成した史書。
「史」の説明の仕方
例えば、電話などで話している最中に、「お名前はどういう漢字を使われますか?」と尋ねられることがありますね。
そんな時のために、漢字の説明の仕方を何パターンかストックしておくと、いざという時に慌てずにすみます。
例を挙げると…
・A「ふみは、歴史の史です」
これは簡単ですね。
歴史の史と言われてわからない人はいないでしょうから。
「史」を使った名前の有名人・芸能人
谷口 高史さん(俳優、声優)
瀬戸 康史さん(俳優、タレント)
多賀 啓史さん(俳優)
金井 史更さん(俳優、タレント)
下元 史朗さん(俳優)
須磨 史衣さん(女優)
大越 史歩さん(女優)
三上 博史さん(俳優、歌手)
米澤 史織さん(女優、タレント)
高橋 史子さん(女優)
高野 史緒さん(小説家)
吉田 史子さん(昭和の演劇プロデューサー)
仲里 陽史子さん(大正から昭和の筝曲家)
島田 依史子さん(教育者、文京学園の創立者)
渡辺 篤史さん(俳優、タレント、ナレーター)
奥村 知史さん(俳優)
酒井 善史さん(俳優、タレント、脚本家)
西田 正史さん(俳優、脚本家、演出家)
渡 洋史さん(俳優、声優)
「史」を使った名付け候補
史恵理(しえり)
史依奈(しいな)
史真(しま)
史(ふみ)
史華(ふみか)
史子(ちかこ)
史季(ふみき)
史音(しとね)
詩史美(しふみ)
史緒利(しおり)
史帆(しほ)
玲史(れみ)
史美(ひとみ)
実史(みちか)
史乃(しの)
紗枝史(さえみ)
冨史香(ふみか)
湖々史(ここみ)
史絵(ちかえ)
史華(よしか)
史恵美(しえみ)
妃史(ひふみ)
千史(ちあき)
陽史子(よしこ)
史穂(ちかほ)
まとめ
「史」は、知的で公正で清らかさを表した漢字です。
内側から輝く美しさは、異性だけでなく同性からも憧れの対象となるでしょう。
組み合わせる漢字によっては可愛らしくキュートなイメージも与えます。
それでいて、知的なクールさも併せ持っています。
そんな「史」の魅力についてお届けしてきました。
お子さまの名付けの参考にしていただければ幸いです。